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2012年12月30日日曜日

「ウェルテルの恋」公演直前! ベルテル予習ガイド!


いよいよ公演まで2週間を切ったミュージカル「ウェルテルの恋」⇒公式サイト

あのー、個人的印象なんですが、公式サイトから作品の魅力があんまし伝わってこないんですよ。
「クオリティの高さ」「イケメントップスター」とか、確かにキーワードはそこかなぁ? と思うんですけどね。なんでこの作品が韓国で何度も再演を繰り返すほど愛されているのか、っていう基本的な情報が欠けているような気がするんで、勝手ながらその辺をちょっと紹介したいと思います。

日本公演に先駆けて、12月16日まで韓国公演が行われました。
←会場のユニバーサルアートセンターの前には、公演中、巨大クリスマスツリーが飾ってあってとてもきれいでしたよ~^^

韓国公演には主人公のウェルテル役に4人の俳優がキャスティングされていたのですが、日本には残念ながら2人しか行きません。でも、4人全部を観ることができたので、それぞれの“ベルテル度”がどの程度だったのかも、個人的感想も含めて紹介します。

しかし、その前に……。
え、「ベルテル」って何よ?って思われた方へ。

まず軽く基本情報をお伝えしますと……。
韓国語タイトルは「젊은 베르테르의 슬픔」
         (チョルムン ベルテルエ スルプム)
         (訳=若きベルテルの哀しみ)
と読みます。ドイツ語のWeltherの発音に近いのはこっちかもしれないですね。
韓国ミュージカルファンや関係者の間では“ベルテル”と呼ばれているので、
韓国で日本風に“ウェルテル”って言っても通じない場合もあるかもしれませんよ^^

2000年初演なんですが、な、な、なんと初代ベルテルは!
「ドクトルジバゴ」で悪役コマロフスキー、「ラ・マンチャの男」で旅館の主人役、そして現在絶賛上演中の創作ミュージカル「ワンドゥギ」で父親トンジュ役の…ソ・ヨンジュさん!!!!
そして、ライバルのアルベルト役は「ジャック・ザ・リッパー」で地獄の底から出ているようなバリトンボイスのジャック役で日本の観客をビビらせたw キム・ボムレ兄さんですよ!!! 
(うわ~(>_<) この顔ぶれで「ベルテル」見たかったなぁ!)

その後ベルテル役を演じた俳優がどんだけ凄いか!
2002年=チョ・スンウ&オム・ギジュン
2003年=キム・ダヒョン&オム・ギジュン
2006年=オム・ギジュン&ミン・ヨンギ
2010年=パク・コニョン&ソン・チャンウィ

↓こちらは歴代ベルテルの2012年公演推薦コメント^^ 
スンウ氏が「見てない人は絶対見なきゃだめっ♥」と可愛い声でおっしゃっていますよw

「ベルテル」歴代の最多出場は、オム・ギジュン兄さんです。
上の動画でも話していますが、兄さんは未だにいろんなインタビューでも「またベルテルやりたい」と発言するほど愛着をお持ちの作品なんですよ。キジュン氏は悲しい演技上手いですからねw
その愛着ぶりは兄さんのツイッターID:@werther777 からも十分に伝わってくると思いますㅋㅋ
そんな兄さんのたぶん2003年ベルテルの動画を見つけたので貼ってみます。
兄さん、すごいロン毛です(笑) 当たり前ですが、約10年前ですから、若いですね~ㅋ
これ以外にもキジュン氏版ベルテルの動画は結構YouTubeに上がってるので探してみてください。

…と、まぁこんな風に韓国ミュージカル界の隆盛期を支えた若きトップスターたちが名を連ねている作品なんですよね。それもあって、ずっと見たいと思い続けていたのですが、私が初めて「ベルテル」を見たのは2010年版のパク・コニョン&ソン・チャンウィ主演版でした。
念願の作品を豪華キャストで観られると嬉々として向かったものの、実はあまりピンとこなくてガッカリした記憶があります^^; な~んか演出がいまいちだったんですよね。。。なので内容をあんまり覚えてないくらいw どちらかというとコニョン氏よりチャンウィ氏のほうが役に合っていたかなー?

 それと、これは余談ですが韓国の一大企業、ロッテの名前は「ベルテル」が恋焦がれるロッテ(シャルロッテ)から来ております。蚕室にあるミュージカル専門劇場の名前も「シャルロッテ劇場」です。
いかに「若きウェルテルの悩み」が韓国で定番ストーリーなのかお分かりでしょう。
この物語には韓国の人たちが大好きな“悲恋と死”という2大キーワードが入ってますからねw

 すっかり前フリが長くなりましたが、こんな歴史を持つ韓国オリジナル(創作)ミュージカルを代表する作品の一つというのは確かです。しかし、初期の公演を知る人たちからは再演を繰り返すごとに、クオリティが落ちていると言われていたりもします。私は当時を知らないので何とも言えませんが、個人的には韓国ミュージカルを知るには通っておかなくてはならない道の一つだと考えています。
 今秋、青山劇場で行われた「ジャック・ザ・リッパー」で韓国ミュージカルに魅了された方も多いと思うのですが、あの作品は海外の作品をベースに改作した“半ライセンス作品”なので、初演からある程度の完成度を持っていました。一方、「ベルテル」は原作こそ海外モノですが、純粋な韓国オリジナルなんですよね。来春、アミューズさんが韓国ミュージカル専用劇場をオープンすれば、創作ミュージカルが続々と日本にやってきます。それを控えて、「ベルテル」は韓国オリジナル作品の完成度、俳優の力など韓国公演界の“現在”を知るにはピッタリの中型作品と言えるでしょう。

 2012年版は、9年ぶりにベルテルを演じるキム・ダヒョンさんを筆頭に、まさに現在韓国最高の
“旬のミュージカル俳優”4人が揃っています。せっかく全員観たので4人の“ベルテル度数”を勝手ながら測定しましたw 韓国に来てご覧になった方も多いと思うので、「私の印象と違う~!」という方もいらっしゃると思いますが、お遊び感覚でお目通しください^^

要素は以下の3つに分け、5段階評価としました。
●ルックス、佇まいなど観客のハートをどれだけ掴めるか?=王子力
●文字通り、声量、音程なども含む=歌唱力
●ベルテル役へのハマり具合は?ロッテへの愛情表現は?=演技力


キム・ダヒョン as ドラマチック・ベルテル

王子力★★★★★
歌唱力★★★★
演技力★★★★★

 1980年生まれのダヒョンさん。元々は歌手としてデビューしましたが、抜群のスタイルとルックスをもつ彼を公演界が見逃すはずはなく、これまで20本以上の舞台に出演。ドラマも「王と私」「ペク・ドンス」「1年に12人の男」などにも出演しています。特に、兵役から除隊後の活動はすさまじく、2012年だけで、何と7本もの作品に主演しました。結婚して子をもつ父親となっても美しさは相変わらず。いま韓国舞台シーンで最も忙しく、脂ののった活躍をしている俳優さんです。
 2003年の「ベルテル」主演時には“花ベル”と呼ばれてファンに愛され、今回9年ぶりのベルテル役となったわけですが、4人の中では唯一の経験者だけに、さすが! 彼が一番作品の世界観を理解して演技しているなぁ!という印象でした。
 前半、ロッテに出会って彼女に魅了されていく過程ではコミカルなシーンもあるのですが、ちょっと”マダム・ザザ”(今夏主演した「ラ・カージュ」の主人公の役名)が入ってんじゃない!?(笑) と思うほど大胆に演じていて、そしてロッテに婚約者がいると知ってからの激しい葛藤など、シーンごとに細かい部分まで気を配って演技しているのが伝わってきました。
 もし来日公演を1回しか見に行かない、もしくは公演を見に行こうかどうしようか迷っている、という人にはダヒョンさん版を見に行かれることをオススメします。


チョン・ドンソク as ピュアすぎるベルテル

王子力★★★★★
歌唱力★★★★★
演技力★★★

1988年生まれのドンソクさん。恵まれた体格とルックス、声楽専攻出身、とミュージカル俳優になるには条件が揃いすぎている韓国ミュージカル界のホープです。デビューから大型作品に出演してきましたが「モーツァルト!」「天国の涙」ではJYJジュンス君とWキャストを務めるなど、これからも大型作品で主演を張っていく人だと思います。
 ちょっと面白いのが、彼は海兵隊へ兵役に行っているという点。陸海空のなかで一番しんどくて服務機関も長いので、韓国では海兵隊出身というだけで男っぷりが何倍も上がります(笑) イケメンなうえに海兵隊出身!韓国の女性たちが放っておかないでしょうねぇw
 先日のシアタークリエコンサートでは全身真っ白のタキシードで、キラッキラの王子ぶりを発揮されていたようなので、ハートをつかまれた方も多いでしょうね^m^
 さて、ドンソクさんのベルテルなんですが、彼は爆発的な歌唱力で聴かせる声楽科出身俳優たちが多いなか、珍しく歌声がとーってもソフトで甘いんですよ^^ しかもロッテに出会った後、純粋無垢すぎる笑顔でロッテへの愛を表現するところなど、別名“ロッテのストーカー”(笑)とも言える行動を取るベルテルのピュアさは彼のほうがよく出ています。しかし細かい感情の表現はまだまだこれから、という感じです。私が観劇したときに面白かったのが、カーテンコールでステージ前方に降りてくるときにアンサンブルの女の子の肩に手を置いて優しく微笑みかけ、当日のロッテ役だったキム・ジウさんの手を取って挨拶する直前、手を上げたジウさんにヒュッと手をひっこめてじらすなど、ははは、この人は女心を掴む方法をよく分かっている究極のツンデレ王子かもしれないな~と思いましたです(笑)

 来日公演に抜擢されたダヒョンさんとドンソクさん。2人とも180㎝以上の長身でしかも足が超長い! 
こんなに舞台での立ち姿が美しい俳優さんは、日本の俳優ではなかなかいないと思うんですが、韓国でもそんなにいません(笑) ルックスばかりを打ち出すのもどーかと思いますが、舞台を見に行かれれば、なるほど、見る価値はあると納得してもらえると思いますよ^^


 そして、残念ながら来日は叶いませんでしたが、韓国舞台シーンの“興行保障切手”と呼ばれ、近年めきめきとキャリアアップしている2人のベルテルも紹介しておきましょう。

キム・ジェボム as 涙のベルテル

王子力★★★
歌唱力★★★★
演技力★★★★

1979年生まれのジェボムさん。4人のなかでは一番少年ぽいのに、実は一番のヒョン(兄貴)だったりします^^
 オ・マンソクさんを筆頭に、数々の芸能人を世に送り出した韓国芸術総合学校卒で、同期は「スリル・ミー」のチェ・ジェウンさん、ドラマ「棚ぼたのあなた」でブレイクして現在「チョン・ウチ」に出演中のイ・ヒジュンさんなどがいます。
 今や伝説となっている韓国初のロングランミュージカル「地下鉄1号線」でデビュー後、少年性を残したルックスと抜群の演技力、安定した歌唱力で劇場街・大学路の小・中劇場作品には欠かすことができない主演俳優です。彼が出演した作品は、好評を得て再演した作品も多いんですよ。
 私自身がよく大学路にいくので、ジェボムさんの主演作もいろいろと見ていて、演技の上手さは4人中トップだと思っていたので密かに期待してました。しかしですね~今回「ベルテル」では彼の良さがあまり生きていなかったような……。私が観劇したのはジェボムさん出演の千秋楽だったにもかかわらず、です。「ベルテル」ってものすごく単純な話なので、ちょっとオーバーすぎるくらい演技したほうが伝わるんですが、ジェボムさんはロッテへの愛情表現もかなり淡泊で(笑) 普段もクールなジェボムさんなので、これは俳優自身の資質もあると思うんですけどね。でも、ロッテへの感情を抑えきれず、葛藤するシーンではかなり涙を流しながら熱演していて、これはやはりジェボムさんならではだな、と思いました。
ジェボムさん、どんな作品もこなせる人なのですが、役にハマればかなり魅力を発揮できる俳優さんで、特にコメディ作品は上手いので、他の作品で一度彼の演技を見てみてほしいですね。

ソン・ドゥソプ as 爽やかベルテル

王子力★★★
歌唱力★★★
演技力★★★

 1983年生まれのドゥソプさん。元々は歌手やダンサー志望だったそうで、学生時代にはダンスの大会で受賞歴もあります。ソウル芸術大学の演劇科に在学中で、最初は歌もダンスも出来るから、とミュージカルのオーディションを受けてみたところ、アンサンブルに合格してからすっかり舞台の虜になったそうです。
 彼が大きく注目される契機となったのが11年に主演したミュージカル「オオカミの誘惑」でした。なにせ映画版でカン・ドンウォンが演じたチャン・テソン役だったのでw 彼自身は負担が大きかったそうですが、元々踊れて歌も歌えるので見事にフンナム(癒し系男子)なテソンを好演して、以降のステップアップにつながりました。
 今回の「ベルテル」で一番役作りに苦心したのがドゥソプさんだったようです。公演が始まる前に出演したミュージカル俳優のトークショー、「イヤギショー」でも、その大変さを吐露していたのですが、私が観劇したのが公演初期だったせいもあってか、まだ役に馴染んでいない印象を受けました。最終日の主演も務めていたので、後半はきっとよくなってたと思うんですけどね~。でも、後半でベルテルが死を決意する前に激しく葛藤するシーンで、舞踊っぽくアンサンブルと踊るシーンがあるのですが、その時の身のこなしが本当に美しくて、さすがだな~と感動しました。
ドゥソプさんの魅力は、ニコーッと笑う爽やかな笑顔と穏やかな佇まい。さりげなく温かな人柄が見えるのがいいところでもあるんですが、「ベルテル」は彼の良さを出せるシーンがあまりなかったんですよね……その持ち味を生かしながら、これからさらに経験を重ねて、大舞台での演技勘を掴めるようになれば、さらにブレイクするんじゃないかと期待しています。

すっかり長くなったので、他のキャストについて簡単に紹介しますと……

ロッテ役
 持って生まれた美貌と天真爛漫さでベルテルを虜にしてしまう、ある意味罪な人ですが(笑)。
可愛さと明るさではキム・ジウさん、可憐な感じはキム・アソンさんのほうが良く出ています。歌と演技力はほぼ同じレベルかな~と。どちらのキャストで見てもいいと思います。

アルベルト役
 ロッテへの片想いに胸を焦がすベルテルにとっては嫉妬の対照であり、脅威となるわけですが、ぶっちゃけ、彼自身には何の罪もないんですよねw
躯体の大きさと爆発的な声量を持つのはイ・サンヒョンさん、柔らかな佇まいで安定した歌唱力をもつのがホン・ギョンスさんです。イ・サンヒョンさんはめちゃくちゃ歌が上手いんですけどキャラが強すぎてベルテルが負けてしまうほどだと感じるシーンもあり……好みが別れるところですが、助演としてはギョンスさんのほうがいいなーと思いました。


 上の写真は、私がチョン・ドンソクさん主演時に見に行ったとき、終演後行われたサイン会でのフォトタイムの様子です。韓国公演と同様にカーテンコールの撮影OK、アフタートークなども予定されているようですけど、日本でもこういうファンサービス、あるといいですよね。

 さてさて、私が書いたこの記事が来日公演の観劇への一助となればと思いますが、気になっている方はぜひ劇場に足を運んでほしいなぁと思います。何か「ベルテル」について他に知りたいことなどありましたら、コメント欄でご質問いただければ、私が知っている限りでお答えしますよ^^

ここまで、長い記事にお目通しいただいた方、ありがとうございました!

4 件のコメント:

  1. あけましておめでとうございます。
    いつもツイを楽しみにさせて頂いています。3年前から韓国ミュージカルを観てから、ハマっています。
    ウェルテルは、昨年ダヒョンさんをソウルで観劇し、今年は日本でドンソク君を観ます(^^)
    ダヒョンさんの時は残念ながら言葉がまだまだ分からない箇所が多かったのですが、ダヒョンさんの美しさは勿論、歌声や繊細な演技にため息が出てしまうくらい魅了されていました。ドンソク君のウェルテルも非常に楽しみです(^^)
    今後もツイでの情報やコメント楽しみにしています!!

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  2. ぴよきち様

    あけましておめでとうございます^^
    コメントありがとうございました。
    ドンソクさんだけ、とおっしゃらず、ダヒョンさんもぜひもう一度ご覧になられたらよいのに…^^ 韓国公演を経て、きっとより一層グレードアップしたベルテルを見せてくださると思いますよ^^

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  3. はじめまして。今週はじめに"ウェルテルの恋”を観劇したあとに、こちらのブログを知りました。今回は、プログラムが韓国版そのままで解説らしきものがなかったので、大変に参考になりありがとうございました。わたしは、韓国のエンターテイメントのことはほとんど知らなかったのですが、今回、このミュージカルに出会えて幸運でした。キムダヒョンさんのウェルテルにすっかり魅了され、本日彼の千秋楽で2回目の観劇をしました。あんなに俳優さんたちのレベルが高いのに、多くの人が見逃していると思うととても残念です。

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  4. >pourpasseletempsさま

    こんにちは。コメントありがとうございます!
    素晴らしいですね、ダヒョンさんを2回も見に行かれたとは!^^
    ダヒョンさんのウェルテル、素敵だったでしょう~
    今日からはチョン・ドンソクさんによるまた違ったベルテルが見られるので、もしお時間が許せば劇場に足を運んでいただければと思います。

    韓国では俳優さんや作品の評判はほとんど口コミで広がるんですけど、pourpasseletempsさんをはじめ、「ウェルテルの恋」をご覧になった方が、お友達や周囲の方々に韓国ミュージカルの良さや俳優の実力の高さを伝えていっていただければ、少しずつでもファン層が広がるのではないかと思います。
    私もそうなるべく頑張って広報していきますので、応援よろしくお願いします^^

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